組織行動論の観点からチームのプロジェクトマネジメントを考える

こんにちは、先日3回連続で空車マークが出ているタクシーに無視されたじょーじです。

さて、今日はプロジェクトチームをどうマネジメントしていくかについて。

  • 「チームマネジメントを任されたけど、何をしたらいいのかわからない…」
  • 「チームがうまく機能しない…」
  • 「なんだか意思決定にいつもモヤモヤする…」

こんな経験はありませんか?このような状態だとプロジェクトを良い形で遂行できず、利益をあげるどころか損失を発生させてしまうかもしれません。

プロジェクトチームを健全な状態でマネジメントするためには「チーム」を知ることが重要です。

プロジェクトマネジメントにおいてはチームの型を知り、建設的な意思決定を阻害している要素を把握し、俯瞰したコミュニケーションを行うことが求められます。

今回は組織行動論の観点からプロジェクトチームをマネジメントしていく際に意識したいポイントを記載していきますね。

CONTENTS

1 そもそも「チーム」とは何か

ビジネスシーン以外においても頻繁に「チーム」という言葉を耳にしますよね。

ですがこの「チーム」という言葉、日本語にしようとすると意外とぼんやりしていませんか?

人や会社によってチームの定義はバラバラですが今回は「メンバー間の協働を通じ、高い相乗効果で成果を創出するために組織化された複数の人々」と定義して進めていきます。

人がただ単に集まった状態ではチームとは言えません。その成果は1人ひとりの貢献を足したものでしかないため、相乗効果は期待できないためです。

このチームという概念を用いてプロジェクトや組織を考える際は「人間関係のあり方、関わり方」が非常に大切。

人は良くも悪くも互いに影響し合うため「どのようにすれば良い相乗効果をもたらすことができるのか」という観点がプロジェクトマネジメントには常に求められます。

2 チームデザインを考える際のキーワード「公式集団」と「非公式集団」

組織におけるチームは自然発生的に生まれるわけではなく、基本的には意図的に構成されるものです。

経営者やプロジェクトマネージャーなどチームのトップは意図的に組織目的を達成するチームをデザインする必要があります。

そのためにはまず公式集団と非公式集団の2種類の集団属性を理解する必要があります。

2-1 公式集団(formal group)

公式集団とは「組織目的を達成するための明確な任務が割り当てられており、それを達成するために形成されたチーム」のこと。

新ブランドのマーケティング戦略を立ち上げる際に形成されたプロジェクトチームや、新商品立ち上げの際のプロジェクトメンバーなどが公式集団に当てはまります。

大切なのは「組織目的を達成するための明確な任務」があること。これがあるチームとないチームとでは、チームの質が大きく変わってきます。

2-2 非公式集団(informal group)

非公式集団は組織において公に定められたわけではない人々の集まりとして表現します。部署は異なるものの一緒に趣味を楽しむ人、一緒に通学する人、会食でたまたま仲良くなった人と複数人で遊ぶ際などは非公式集団として認識して問題ないでしょう。

そのためビジネスシーンにおいては非公式集団よりも公式集団の方が直接的な生産性を発揮できると考えられます。

この非公式集団は基本的には個人的な人間関係がベースです。

組織的な目的などではなく、限定されたコミュニティにおける共通の利害や関心に重きが置かれる傾向にあります。

しかしインフォーマルコミュニケーションという言葉があるように、非公式集団における人間関係や交流は、公式集団における行動や業績に影響を及ぼすこともあります。そのため決して軽視してはいけません。

2-3 チームが「擬似的な公式集団」にならないように意識を

「集団」という文脈での議論になれば公式集団も非公式集団も議論の対象になり得ます。

こと「チーム」という文脈であれば意図的に形作られた公式集団がその対象となるでしょう。

「チーム=公式集団」と捉えることで組織目的に合わせたチーム設計や、取り組むべき課題が明確になるためです。

しかし公式プロジェクトにも関わらずただメンバーをふんわり集めただけの「擬似的な公式集団」も決して少なくありません。

個別具体的に設定された明確な目標もなく、ただ中途半端に集められてしまったチームでは「単なる質の悪いチーム」となってしまいます。

こうなってしまうと高い生産性を担保することは難しいでしょう。

公式集団の定義でもある「組織目的を達成するための明確な任務が割り当てられており、それを達成するために形成されたチーム」であることを念頭に、チーム設計を考えましょう。

3 メンバー間の高い相乗効果創出のための「プロセス・ゲイン」と組織の損失「プロセス・ロス」

チームのことを冒頭で「メンバー間の協働を通じ、高い相乗効果で成果を創出するために組織化された複数の人々」と記載しました。

「協働を通じ、高い相乗効果で成果を創出する」ためには、個々のメンバーの成果をシンプルに足し算するだけでは達成できません。

高い相乗効果を発揮するための心構えを理解しておきましょう。

3-1 プロセス・ゲイン

「10人のメンバーがチームとして共同作業を行うと、各メンバーが仕事をしたときの成果を10倍したものよりも大きな結果がもたらされる(10人チームの成果>個人単独成果×10)」という考え方があります。

このようにチームメンバーの相乗効果により利益が生じることを「プロセス・ゲイン」と呼びます。

極論、プロジェクトマネジメントはプロセス・ゲインを獲得するための取り組みと言ってもいいかもしれません。

プロジェクトをリードする立場であれば、どのようなチームを編成すればこのような相乗効果が獲得できるのかを考える必要があります。

ただ人を集めただけではプロセス・ゲインは期待できません。

3-2 プロセス・ロス

しかしその反対に、集団のプロセスにおけるプロセス・ロス、すなわち損失についても考えなくてはなりません。

これは先ほどとは逆の現象で「10人のメンバーがチームとして共同作業を行うと、各メンバーが仕事をしたときの成果を10倍したものよりも小さな結果となってしまう(10人チームの成果<個人単独成果×10)」というもの。

このような損失が生じる原因としては、メンバー間の役割分担や、他責思考、認識している成果のズレ、業務プロセスの認識の違い、コミュニケーション不備など様々な理由が考えられます。

さらに組織において仕事をしない、手抜きをするなどの「リンゲルマン効果(社会的手抜き)」や、協調性がなく動きが非効率になってしまったりすることでもこれは発生してしまうもの。

このプロセス・ロスはどのチームでも発生しうる症状です。

チームで組織目的を達成するためには、いかに利益を獲得するべきかという議論と併行し、いかに損失を防ぐかについてのリスクマネジメントも不可欠です。

4 主な3種類のチーム形態から適切なチームデザインを検討する

メンバー間の連携や業務プロセス、そもそものチームのあり方などはチームによって様々。

チームの型には絶対解はありませんが、最適解は存在します。

その時のチームによって最適な型を選択することができれば、生産性を向上させることが可能です。

さて、組織におけるチームデザインの型式は複数に分類することができます。

その型式を特に重要な3種類で考えていきましょう。

それぞれチームの粒度や特性が異なるため、状況によって使い分ける必要があります。

適切に活用できればプロセス・ゲインに大きく貢献しますが、無理に適切ではない型を当てはめると、プロセス・ロスが発生してしまいます。

4-1 クロスファンクショナルチーム(CFT)

クロスファンクショナルチームは多様なメンバーから構成されるチームのこと。

全社的な経営課題解決のために構成されることが多いチームです。

部署や役職にとらわれず、場合によっては社外からもリソースを集めて構成されるチーム」を意味することが多いですね。

社内での新規プロジェクトや、クライアントを含めたチームのプロジェクトマネジメントを行う際は、クロスファンクショナルチームがメインになると言っていいでしょう。

このチームのメンバーは営業、開発、企画、マーケティング、システムなど、多様な職能分野から選ばれます。ある目的のために様々なメンバーがそれぞれの職務をまたいで業務を遂行するため、機能横断型とも呼ばれます。

リーダーにはチームを引っ張り業務を遂行する役割が強く求められます。

クロスファンクショナルチームの特徴

このチームは同質のメンバーから構成されるチームとは異なり、バックボーンや経験、技術や共通言語、視点が異なる異質なメンバーから構成されるチームです。

そのため多様性が高いタイプとも言えるでしょう。

多種多様な観点や視点や経験を活用できるため、新規プロジェクトのディスカッションやリスクマネジメント、大きな座組みでプロジェクトを進捗させる際、また、既存サービス改善のためのディスカッションや、組織の柔軟性の向上などにも高い効果が期待できるチームです。

多種多様な職能の人材が揃っているため、様々な環境変化にも柔軟に対応することができ、解決策を多角的に模索することも可能。

しかし多様な問題解決を行うことができる反面、チームをコントロールできる強い牽引力、様々な共通言語を扱える人材がいることが求められます。

会社的に重要な大規模プロジェクト、裏プロジェクトなどはこのタイプの精鋭部隊チームで行われることも多く、経営レベルの意思決定が関わってくる機会が多い体制とも言えるでしょう。

クロスファンクショナルチームで気をつけるべきポイント

クロスファンクションチームで気をつけたい主なポイントは、「プロジェクトメンバーの社内の立場」「プロジェクトが実際に浸透するかどうか」

経営課題など大きな課題の解決を図るためのチームであることが多いがゆえに、プロジェクトメンバー以外の理解がなかなか得られず、チームメンバーが社内で孤立していってしまうことも。

結果として参加メンバーの心理安全性を奪ってしまう恐れもあります。

また、チームが必死に上流工程を設計したとしても現場で実行されないケースも多々あります。

経営層や決裁者と連動し、プロジェクトの意義や活動状況を定期的に社員へ共有することも時には必要です。

4-2 セルフマネジングチーム

セルフマネジングチームは自己管理を行うことで問題解決に向き合うチームです。

チームそのものが解決策を決定し、実行する権限がある自律的なチームです。この権限には業務スケジュールやチーム内の役割分担の決定も含まれます。

もしかするとこのタイプのチームが最も多いかもしれませんね。

リーダーはチームを支え、チームの意思決定をサポートする役割が強く求められます。

セルフマネジングチームの特徴

従来特定のリーダーにのみ与えられていた権限が、チームに譲り渡される形になります。

従来は特定のリーダーが意思決定の権限を保有している場合、リーダーがチームにとって重要な意思決定を行い、チームを引っ張っていくことが求められました。

しかしセルフマネジングチームにおいてはメンバーをサポートし、時としてコーチングを行いながら業務を調整していく「調整役」のようなスタイルが求められます。

このタイプのチームはチームメンバーが意思決定に参加する機会が多いため、環境が変化してもディスカッションを行い、常に柔軟に対応することが可能です。

そのため「チームとしてどうすれば建設的な意思決定を行うべきか」を考えることが重要です。

セルフマネジングチームで気をつけるべきポイント

セルフマネジングチームで気をつけたい主なポイントは「メンバーが自身を律することができるか」「リーダーがリーダーの役割を全うできるかどうか」

健全に機能すればメンバーの仕事への満足度は高くなり、生産性の向上も期待できます。

いい意味で言えばお互いの信頼関係が支えるチーム、しかし悪く言えばリーダー不在のチームです。

メンバー自身が自分を律することができればいいのですが、必ずしも全メンバーがそうではありません。

そしてリーダー役がリーダーの役割を全うしない場合は特に注意が必要です。

リーダーとしての責務を遂行せず業務や意思決定をメンバー任せにしてしまったり、メンバーにも業務の権限があるからといってメンバーに責任を押し付けてしまったり、コミュニケーション機会を重んじなかったりするとチームの機能が著しく低下してしまう恐れがあります。

4-3 バーチャルチーム

コロナの影響でオンライン会議がスタンダードとして定着した今、多くの組織がこのバーチャルチームを選択しています。

高い情報技術で成立しているこのチームは、組織、地域、国を限定せずにプロジェクトを進めることが可能です。

しかし「リモートワークでプロジェクトを行うチーム」という「バーチャルコミュニケーション」的な意味とはちょっと異なります。

複数の企業や、地方の企業、多くの外部人員がプロジェクトに関わる際、海外のチームと連携が必要な際はこの形態を選択することになるでしょう。

バーチャルチームの特徴

バーチャルチームは多様なメンバーで構成されることも、同質なメンバーで構成されることもあります。

多種多様な技術を用いてプロジェクトを進めるため、地理的、組織的、時間的な制約を受けにくい点が主なメリットと言えるでしょう。

多種多様な問題に柔軟に対応できる点などはクロスファンクショナルチームと同様です。

バーチャルチームには世界規模で知識を共有すること、遠隔地にいる優秀な人材を確保すること、ワークスペースへいつでもアクセスすること、体系化されたコミュニケーションツールを活用することで建設的なコミュニケーションが可能などのメリットがあります。

バーチャルチームで気をつけるべきポイント

バーチャルチームで気をつけたい主なポイントは「継続した信頼関係の構築」「テクニカルなリテラシー」

まず気をつけたいのが、多くのバックボーンを保有し、時には国を超えたコミュニケーションが発生すること。相手のバックボーンを理解した発言や振る舞いも時として求められます。

日本では問題のない振る舞いでも海外では一発アウトになってしまう発言も考えられます

こうなると信頼関係構築どころの話ではありません。

そして多数のチームが多数の専門ツールを日常的に使用します。

情報セキュリティ感度や、IT関係の知識など高いリテラシーが要求される可能性もあり、なかなかテクニカルなチーム構成とも言えるのです。

そのため関わるチーム自身が問題解決や意思決定を行うために必要な権限や情報を展開、共有、管理しておくことも当然のように求められます。

そしてチームメンバーは相手を「その領域のプロ」として判断します。そのため特定領域における専門性がそのまま信頼性に直結します。

しかし特定領域における専門性が著しく不足している場合「なんか大したことないや」と思われてしまい信頼性を構築することが難しいでしょう。

この現象は他のチームでも発生しますが、このチームの場合は地理的に離れているケースも多く、信頼値のリカバリーがやや難しい可能性があります。

信頼関係や高いレベル感のリテラシーなどを求められる機会が特に多いため、ややハードルが高いチームと言えるでしょう。

5 チームによる意思決定の種類

前章ではチームの型について考えてきました。

それぞれのチームで特色が異なります。すなわち、意思決定の流れも異なるということ。

チームでの意思決定には実は種類があることを理解しておきましょう。

「三人寄れば文殊の知恵」のように複数人集まれば見事なアイデアが創出されることもありますが、「船頭多くして船山に登る」のように指示を出す人が多いとチームがまとまらずに想定外の結論に達してしまうこともあります。

意思決定の仕組みを理解しておかないとせっかくの議論が無駄になってしまうかもしれません。

そうならないようにチームの意思決定でも特徴的な3種類に関して記載していきます。

5-1 【歓迎される意思決定】チーム思考(team think)による建設的な意思決定

チームによる建設的な意思決定は「チーム思考(team think)」がポイント。これはメンバー間の前向きな意見交換を通じ、効果的な意思決定を行おうという思考様式です。

問題や議題の解決プロセスにおいて、メンバーごとに多種多様な視点が効果的に活用されていたり、個々がインプットした内容、関心や意見が複合的に絡み合っていることが望ましい状態です。

各メンバーが保有している情報を丁寧に取りまとめ、議題に対する多くの情報をもとにチームが意思決定を行うことができれば、建設的な意思決定につながる可能性が向上します。

さらにメンバーが意思決定に参加するため、チームでの決定を納得感を持って実行に移すこともメリットと言えるでしょう。

しかし言うは易く行うは難し。

メンバーが常に情報収集やネットワーキングを行なっていること、特定の意見を無理矢理押し通そうとしないこと、相手の意見を否定しないことなどなども求められます。

意思決定は常に建設的であるべきですが、必ずしもそうではありません。

建設的な意思決定ではない場合は次の2つの種類の意思決定になってしまっている可能性があります。

5-2【歓迎されない意思決定】集団極性化(group polarization)による極端な意思決定

チームが極端な意思決定を行なってしまう現象を、集団極性化(group polarization)と呼称します。

これはチームで議論を行うことによって、偏った結論が導き出されてしまうことを指します。

前述したプロセス・ロスは、主にこの意思決定から発生するといっても過言ではないでしょう。

「特定のメンバーの発信内容が強すぎる場合」や「同意見のメンバーが勝手に話し合いを進めてしまい、間違っているかもしれない方向にどんどん意思決定が進んでしまう」場合などでこれは発生してしまいます。

結果、チームとして偏った案が選ばれてしまいます。

こうなると本質的な意思決定、そこからの最適なソリューション抽出は望むべくもありません。

また、これにはチームの体質も影響してきます。

チームの体質が「とにかくリスクをとってでも前に進む」ようなものであれば、意思決定はハイリスクな選択肢を選択肢がちでしょう。

もちろんその逆も然り。

もしこの状況に陥りそうであれば「その議論に対しての本質的な最適解は何か?」というスタンスで一度俯瞰してみるのも手です。

5-3【歓迎されない意思決定】集団思考(group think)による浅はかな意思決定

集団思考とはチームが抱えている問題の解決よりも、メンバーの意見を合わせることに注力してしまう思考方法のこと。

これを集団思考(group think)と呼び、いわゆる多数決もこの色合いが強いでしょう。

「クライアントがこう言っているからとりあえず言われた通りに進めるか」

「みんなこっちがいいって言ってるし、とりあえずこっちで進めようって言うか」

などの心理状態が時として浅はかな意思決定に加担してしまうのです。

「チームで効率的な意思決定をしよう」という本来の目的が「関係者の見解を同じにしとこう」という方向に流れてしまい、本質的な意思決定から離れてしまいます。

このような集団思考が生まれてしまう理由に「集団凝集性(group cohesiveness)」が挙げられます。

このタイミングで出すと悪い言葉に聞こえてしまいそうですが、集団凝集性は決して悪い言葉ではないんです。

集団凝集性が高いと業績にも好影響を及ぼすことだってあります。

一般的に「凝集」とは散らばっているものが同じ場所に集まることを意味しますが、集団凝集性は「このチームにいたい」「チームが魅力的に感じる」などの前向きな文脈で使用されます。

しかしこの集団凝集性が強すぎたり、一部に偏りすぎたりすると反対意見を言えなくなってしまうことがあります。

少数派のメンバーは意見を控えるようになり、多数派へ賛成しているように見えてしまうのです。

ポジティブな意味だった集団凝集性が「この組織に留まるために今は波風を立ててはいけない」「チームに賛同しているように見せないと立場が悪くなる」などのネガティブな集団凝集性に変わってしまうのです。

結果として少数派が保有していて本来提供されるはずだった貴重な情報も提供されず、集団極性化に近い意思決定となってしまい、建設的な意思決定とは程遠くなってしまうのです。

6 建設的な意思決定のための思考法「KT法(ケプナー・トリゴー・ラショナル・プロセス)」

建設的な意思決定は実に難しいものです。

常に正しい意思決定を行おうとしても、時として人間関係や社内政治、キャリアやその時の心理状態などなど実に多くの変数に阻害されます。

建設的な意思決定のためにどのような手順を採用すべきかは難しいポイントです。

そこで参考にしたいのがKT法。

KT法とはアメリカのC・ケプナー(社会心理学者)とB・トリゴー(社会学者)の二人が考案した合理的思考法(ラショナル・プロセス)のこと。

2人は「複雑で繰り返し起きる問題に対して効果的な意思決定を下す人って【共通の思考や判断の過程】があるよね」ということを見つけ、なんとフレームワーク化までしてくれました。

日常業務の中で発生する思考領域にスポットをあて、これらの思考領域を4つに区分。それぞれに対応するプロセスを論理的に体系化してくれています。

  1. 状況分析プロセス(SA)…課題は何か?今何が起こっているのか?
  2. 問題分析プロセス(PA)…原因は何か?それはどうしてそうなったのか?
  3. 決定分析プロセス(DA)…最適案は何か?具体的にどうすればいいのか?
  4. 潜在問題分析プロセス(PPA)…それを実行するリスクは何か?その対策をどうするか?そのリスクによって何が起きえるか?

この思考法をもとにした手順でディスカッションを行うことで次のようなメリットがあります。

  1. 問題解決や意思決定における、時間や費用など無駄なリソースの削減
  2. 情報収集と情報利用の手法改善
  3. 自分の考えを正しく伝達することが可能
  4. チームを構成する多数の人たちが同じ方向で議論できる
  5. 各々がもっている知識、経験、情報、問題意識をフェーズごとに共有可能
  6. 組織全体の思考の効率化

など、有効活用すれば集団極性化や集団思考のマイナスポイントを減らすことが可能です。

ディスカッションをしていて「ちょっとまずいぞ」と思ったら一度立ち戻り、このKT法を使って再度ディスカッションを行うのも効果的です。

7 チームでのプロジェクトに求められる3つのスキル

チームがプロジェクトを遂行できるかどうかには当然ながら「スキル」が関連してきます。

必要になるのは専門スキル、問題解決スキル、コミュニケーションスキルの3種類がベーシックでしょう。

7-1 専門スキル

これは特定の分野における高度な知識や技術などに関するスキルのこと。

クロスファンクショナルチームやバーチャルチームにおいて、多様かつ専門的な観点でプロセスを分析する際にもこのスキルは重要です。

この専門スキルがなければ成果物を創出することは難しいでしょう。

専門スキルを保有する人材に対して、営業サイドがふんわりとした状態で案件を提示してしまったり、案件属性を理解せず無理難題を言ってしまったりするとコミュニケーションロスや不信感が生まれてしまう可能性があります。

7-2 問題解決スキル

問題を発見し、その解決案を導き出すスキルのこと。

仮説を立て、それを検証、分析します。分野によっては専門知識も要しますが、ロジカルかつ客観的な考え方が求められます。

チームメンバーが自発的に目的、目標意識をもち、問題解決をし、解決策を模索、結論を導き出せる状態が理想ではあります。

このスキルを向上させるためには、チームに仕事を任せて試行錯誤を要因することも重要。失敗を許容できる心理安全性のある組織であることが求められます。

分析結果や客観的な意見をディスカッションするシーンで、強い主観や肌感覚の意見、あまりにも専門的な各論を言ってしまうと建設的な意思決定につながらない可能性も。

問題解決ディスカッションを行う際はミーティングのメンバーを考える、発言の機会を考えるなどのファシリテーション技術も有用です。

7-3 コミュニケーションスキル

明るく誰とでも話せる、どんな場でも盛り上げられる、すごい一発芸があるなどは当文脈でのコミュニケーション能力からは一旦除外します。

「チームやメンバーの発言を促すファシリテーション力」「他メンバーや多様性を受け入れる柔軟性」「専門スキルを保有した人材と共通言語を用いて建設的な会話ができるディレクション力」などをコミュニケーションスキルと考えましょう。

クロスファンクショナルチームなど、メンバーごとに異なる専門用語を用いることもあり、チーム内でのコミュニケーションが円滑に進まない可能性があります。

また、バーチャルチームは顔を合わせる機会が少ないためにコミュニケーション機会が少なくなりがちです。

このようなチームにおいてメンバー間の効果的な情報伝達や議論を進めるコミュニケーションスキルは不可欠です。

さらに集団思考を防ぐため、チームリーダーのコミュニケーションスキルも重要。

メンバーの議論参加を促したり、少数派の意見を許容するなども大切なポイントです。

最後に:チームに求める型や建設的な意思決定はケースバイケース、流動的にグラデーションで捉えることが必要

明確な目的を持ったチームであることはチームの最低条件です。

その上で「この案件にはどのようなチーム体制が求められるのか」「どのようなスキルの人材がどれほど必要なのか」「意思決定を行う際はどのように行うか」などを丁寧に考える必要があります。

クロスファンクショナルチームが適していると考えても、セルフマネジングやバーチャルな要素も含まれている可能性があります。

「クロスファンクショナル6」「セルフマネジング3」「バーチャル1」など、チームの色合いはグラデーションになっています。そしてそのカラーはフェーズごとに変化するもの。

常に目的目標に立ち返り、丁寧なコミュニケーションを行いながら「今何をすべきか」「今適切なことは何か」を考えてチームマネジメントを考えたいですね。

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